パレスチナ難民に対する教育の質的改善のための支援プロジェクト

 国際協力機関において、パレスチナ難民への教育支援は、「人間の安全保障」の実現を支援する一環として重要であると見なされており、中東地域の重点分野の一つとなっている。パレスチナ難民への教育支援はこれまで国連機関であるUNRWA(United Nation Relief Work Agency)が中心になって行っている。UNRWAはパレスチナ難民の基礎教育の普及に力を入れ成果を挙げてきたが、次の課題として教育の質をどのように改善するかに焦点を当てている。教育の質を向上させるには、まず教員の質の向上が求められ、情報化・国際化という社会的背景を受けて情報技術や英語教育の教員研修を実施している。加えて、UNESCO とUNRWAの教育部は、学校における教育の質を評価するための指標として”Quality Assurance Framework for UNRWA schools 2006”を発行し、(1)教授法、(2)生徒中心の学習法、(3)視聴覚メディア、(4)学びの組織づくりの4 つを提示した。この評価指標では、暗記・暗唱を中心とした学習ではなく、児童が自主的・主体的に参加する学習法を取り入れた「学習者中心の教育」(Learner Centered Approach:以下LCA)を推奨している。しかしながら、暗記中心の教育を受け、実践している教員が、すぐに「学習者中心の授業」に切り替えることは極めて困難である。実際、UNRWA が実施している教員研修は、講義が中心で、研修自体が知識伝達型であると言える。LCA を実践するためには、教員がその重要性を「認識し理解する」だけ
ではなく、「実施する」ことができなくてはならない。そのため、教員自身が学習者としてLCA の学習法で学び、体験することが重要である。つまり教員研修では、単に知識を獲得するだけではなく、参加した教員同士が学びあえる環境作りが必要となる。そこで関西大学研究チームは2006 年2 月より、LCA を実践するための教員のコミュニティ形成を目的としたワークショップを実施してきた。

実践研究の目的
本活動の目的は、「LCA という新しい教育方法を学校で実践、展開、普及させるために教員コミュニティを形成する」ことである。そこで本研究では、教員コミュニティを形成するための手立てをどう提供するか、また作られた
教員コミュニティはどのような役割を果たすべきか明らかにすることを目的とする。中東の学校において、教員がこのようなコミュニティを形成し、互いに学びあう関係を構築することはこれまでには行われた例は少なく、本研究で教員コミュニティの形成モデルを開発することの意義は大きい。ここで得られた研究成果や知見は、今後、他の中東アラブの地域だけでなく、発展途上国に対して新しい教員研修を展開させる可能性と方法として示唆することができるだろう。

詳細については、以下のページへアクセスください。
本プロジェクトの公式サイト http://unrwa.ict-education.org
LCAの一環としての研究実践 http://artmile.ict-education.org

代表:岸 磨貴子
[連絡先] 〒569-1095 大阪府高槻市霊仙寺町2-1-1
関西大学大学院  総合情報学研究科 博士課程後期 
Tel: 072-690-2419, Fax: 072-690-2419
E-Mail: mako@ict-education.org